日本大学医学部附属板橋病院 血液・腫瘍内科では、自家移植・同種移植の両方に取り組んでいます。
移植が必要かを考える段階から、治療中、退院後の暮らしまで、患者さん・ご家族と相談しながら診療します。[1]
造血幹細胞移植とは
赤血球・白血球・血小板のもとになる「造血幹細胞」を点滴で体に入れ、血液をつくる働きの回復や再構築を目指す治療です。
用いる細胞が患者さん自身のものか、ドナーのものかによって、自家移植と同種移植に分かれます。[2]
自家移植と同種移植の違い
自家移植:自分の細胞で血液の回復を支える
あらかじめ患者さん自身の造血幹細胞を採取・保存し、大量の抗がん剤による治療の後に戻します。
強い治療で低下した血液をつくる働きの回復を助けます。[2]
同種移植:ドナーの細胞で血液をつくり直す
血縁者や非血縁者のドナー、臍帯血などから得た造血幹細胞を用います。
血液がんでは、ドナーの免疫細胞が病気の細胞を攻撃する働きも期待します。[2]
どのような病気で検討するのか
自家移植は多発性骨髄腫や一部の悪性リンパ腫、同種移植は白血病、骨髄異形成症候群(MDS)、重症の再生不良性貧血などで検討します。
同じ病名でも、病型や治療への反応によって、移植が適する場合と、ほかの治療を選ぶ場合があります。[3]
移植を選ぶ前に一緒に考えること
病気の状態や再発の危険、これまでの治療、心臓・肺・腎臓などの働き、感染症の有無を確かめます。
年齢だけで判断せず、体力や日常生活の状態、ご本人の希望も踏まえます。
移植で期待できることと合併症の危険、移植以外の選択肢を比べ、治療を行う時期や方法を相談します。
同種移植では、HLAという白血球の型やドナーの状況も確認します。[2][3]
相談から移植・退院までの流れ
- 相談と検査:紹介元から検査結果や治療経過を共有いただき、移植の必要性や全身状態を評価します。
- 細胞の準備:自家移植ではご自身の細胞を採取し、同種移植ではドナーや臍帯血の調整を進めます。
- 前処置と移植:薬物療法や、必要に応じた放射線治療による前処置を行った後、造血幹細胞を点滴で入れます。
- 血液の回復を確認:移植した細胞が血液をつくり始める「生着」を確認し、感染症などに対応しながら退院後の生活を準備します。[2]
準備や入院、回復にかかる期間は、移植方法や病状、合併症によって異なります。
治療の負担と、退院後も続く支援
治療中は感染症、出血、口内炎、吐き気、臓器への影響などに注意します。
同種移植では、ドナーの免疫細胞が患者さんの体を攻撃する「移植片対宿主病(GVHD)」の予防と早期の対応も大切です。[2]
退院は回復の一つの区切りです。
その後も、感染症や病気の再発、時間がたって現れる治療の影響を確認し、体調に合わせて予防接種や生活上の注意点を相談します。[4]
食事や体力の回復、仕事への復帰、気持ちのつらさ、ご家族の負担も、遠慮なくお聞かせください。
多職種や地域の主治医と連携し、専門的な治療と住み慣れた地域での暮らしをつなぎます。[1][4]
移植について相談したい方へ
移植を勧められた方や、今後の治療の選択肢を相談したい方は、まず現在の主治医に当科への紹介をご相談ください。
移植を受けることが決まっていなくても、必要性や選択肢を整理するところから相談を進めます。
参考文献・参考資料
- 日本大学医学部附属板橋病院:血液・腫瘍内科の公式診療案内
- Sureda A, Corbacioglu S, Greco R, Kröger N, Carreras E, eds. The EBMT Handbook: Hematopoietic Cell Transplantation and Cellular Therapies. 8th ed. Springer; 2024. doi:10.1007/978-3-031-44080-9.
- Greco R, Ruggeri A, McLornan DP, et al. Indications for haematopoietic cell transplantation and CAR-T for haematological diseases, solid tumours and immune disorders: 2025 EBMT practice recommendations. Bone Marrow Transplant. 2025;60(11):1499–1525. doi:10.1038/s41409-025-02701-3.
- Rotz SJ, Bhatt NS, Hamilton BK, et al. International recommendations for screening and preventative practices for long-term survivors of transplantation and cellular therapy: a 2023 update. Bone Marrow Transplant. 2024;59(6):717–741. doi:10.1038/s41409-023-02190-2.
