日本大学医学部附属板橋病院 血液・腫瘍内科では、再発・難治性のB細胞リンパ腫に対するCAR-T療法を実施しています。
治療を検討する段階から投与後の経過観察まで、現在の主治医や関連部門と連携して診療します。[1]

CAR-T療法とは

CAR-T療法は、患者さん自身の免疫細胞である「T細胞」を採取し、がん細胞を見つけて攻撃する働きを持たせてから、体に戻す治療です。
抗がん薬だけで治療する方法とは異なり、加工した細胞の働きを利用します。[2]

当院での対象と、治験について

再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫についてご相談を受け付けています。
製剤によって対象や条件が異なるため、病型、これまでの治療とその効果、全身状態などを確認して適応を検討します。[1]

また、多発性骨髄腫を含む疾患を対象としたCAR-T療法の治験にも取り組んでいます。
治験への参加は、病状や治療歴、試験ごとの参加条件などを確認し、現在の主治医と連携して検討します。

相談から治療までの流れ

病気の状態や製剤に応じて計画を立て、各段階の目的をご説明します。[1][3]

1.主治医からのご紹介・適応評価

これまでの治療経過や検査結果を確認し、CAR-T療法が選択肢になるかを検討します。

2.リンパ球の採取・CAR-T細胞の製造

血液から必要な細胞を取り出す「アフェレーシス」を行い、採取した細胞を用いてCAR-T細胞を製造します。

3.製造を待つ間の治療・投与前の準備

必要に応じて病気の進行を抑える治療を行います。
投与前には、CAR-T細胞が働くための環境を整える薬物療法などを行います。

4.CAR-T細胞の投与・経過観察

CAR-T細胞を点滴で投与し、治療の効果と副作用を確認します。
入院中だけでなく、退院後の診療も含めて計画を立てます。

副作用と、治療中の支援

発熱や血圧の低下などがみられる「サイトカイン放出症候群(CRS)」や、意識・言葉の出方などに変化が生じる神経系の副作用に注意が必要です。
血球の減少や感染症が起こることもあるため、専門的な管理のもとで体調の変化を確認し、必要な治療を行います。[4]

治療後も、暮らしとつながる診療を

治療後も病気の状態、血球数、感染症などを確認し、継続して経過をみます。
体力の回復や通院、仕事、ご家族の支援についてもご相談ください。
紹介元の医療機関と診療情報を共有し、病状や生活に合わせて診療を調整します。[1][3]

当院の公表実績

CAR-T療法の累計投与件数は55件(2024年7月〜2026年6月)です。[1]

受診・ご紹介について

患者さん・ご家族の方へ

CAR-T療法を検討されている方は、まず現在の主治医にご相談ください。
これまでの検査結果や治療経過を共有いただいたうえで、当科での相談につなげます。

患者さんをご紹介いただく先生方へ

CAR-T専門外来の予約・治験に関するお問い合わせは、医療機関を通じて受け付けています。
病型や治療歴、現在の病状などをご共有ください。専門外来の予約方法や紹介窓口は、病院公式ページでご案内しています。[1]

参考文献・参考資料

  1. 日本大学医学部附属板橋病院. CAR-T療法・CAR-T専門外来について.
  2. June CH, Sadelain M. Chimeric Antigen Receptor Therapy. N Engl J Med. 2018;379(1):64–73. DOI: 10.1056/NEJMra1706169.
  3. Yakoub-Agha I, Chabannon C, Bader P, et al. Management of adults and children undergoing chimeric antigen receptor T-cell therapy: best practice recommendations of the EBMT and JACIE. Haematologica. 2020;105(2):297–316. DOI: 10.3324/haematol.2019.229781.
  4. Santomasso BD, Nastoupil LJ, Adkins S, et al. Management of Immune-Related Adverse Events in Patients Treated With Chimeric Antigen Receptor T-Cell Therapy: ASCO Guideline. J Clin Oncol. 2021;39(35):3978–3992. DOI: 10.1200/JCO.21.01992.